民族の経験的知恵
いまの西欧式密室の家では冷房機があってもそれは「冷たさ」であって日本人が求める風雅な「涼しさ」ではない。
日本家屋は元々「天然の空調冷房装置」だったのである。
日本家屋ほど省エネ、節エネの模範例はないのである。
日本の民家には煙突というものがない。
これは不合理で非衛生だという人があるが、開放的な家の構造と害虫駆除のため極めて合理的である。
いろりで薪を焚いても煙は家のなかにこもらず、わら屋根を通してどこからともなく退散する。
その過程で昆虫の多い日本ではこの煙で自然に松葉いぶしになる。
さらによいことには煙のなかの炭素が廊下、柱、天井とすべての木目にしみこみ天然のコールタールとなる。
炭素は害虫をしりぞけ、木は永久保存される。
これを主婦が代々ふききよめつづけるので、旧家の台所や板の間、柱が黒光りしてなんともいえぬシックな味をだしている。
このように日本の民家は煙を煙突で直接外に誘導しなかったのも、民族の経験的知恵であったのだ。
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