ロンドンと日本の夏(JDPホールディングス株式会社)
日本の土地はどこでもちょっと目を離すとたちまち雑草が丈高く生い茂り、「八重むぐら茂れる宿」になってしまう。
これは国土の生命力が欧州に比べて極めて高いことを意味する喜ばしい現象なのである。
ロンドンの夏、8月の平均気温は一七・五度と東京より十度も低い。
これは日本の初夏の気温で海水浴などする気分にもなれない。
ロンドンの紳士が真夏でもきちんとフロックコートに山高帽をかぶって出てくるのは日本に比して極端に冷夏だからである。
この気候風土に適応した英国流のゼントルマンシップのスタイルを日本の真夏にもちこんで紳士ぶるのは滑稽である。
かれらは人前に手足の膚をむき出すのは失礼なのである。
寒さに適応して毛むくじゃらのハダを人前に出すのはいかにも動物的でみっともないからである。
日本で真夏の暑い日に学生や聴衆が全部シャツ一枚のハダむき出しの軽装でリラックスしているのに先生だけが紳士ぶって真黒のフロックコートで汗をふきふき講義したら、とても暑苦しくて不愉快で話など聞いていられない。
郷に入ったら郷に従うべきで、日本では真夏に英国式ゼントルマンシップスタイルで現われることは誠に失礼なことである。
風土と生活を無視して礼儀作法を語ってはならない。
時と場所を考えず西洋式をハイカラぶるのは滑稽である。
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